吉匠建築工藝(東京都八王子市)の吉川宗太朗社長が2025年11月10~12日、米ラスベガスで開かれた国際カンファレンス「Trimble Dimensions 2025」で講演し、社寺や文化財建築の保存に3Dスキャンを活用する手法と、点群データを基に和紙へ出力する表現「群拓(ぐんたく)」を紹介しました。会期は3日間です。
イベントは測量・建設・インフラやデジタルツイン分野の技術者らが集まる年次会合で、数百規模のセッションが行われるとされています。講演では、従来の測量では把握が難しい床下から小屋裏までを3Dスキャナーで計測し、点群データ(多数の計測点の集合)から高精度の現況保存図面を作成してデジタルアーカイブ化する流れを説明しました。同社によると、この計測方法は特許を取得しています。
さらに、作成した現況保存図面を和紙に印刷し、資料であると同時に作品として提示する「群拓」も取り上げました。魚拓に着想を得た名称で、建物の現況を“写し取って”残す狙いだといいます。リリース前から予約が入るなど関心があるとし、会場でも問い合わせがあったとしています。災害や経年劣化で損壊した場合でも、精密図面の活用で復旧・復興に役立てられる点を利点に挙げ、海外からの図面作成依頼も増えているとしています。今後は、伝統技能とデジタル計測の組み合わせが文化財保全の実務にどこまで浸透するかが焦点になりそうです。
